ここ数ヶ月で読んだ漫画27作品をオススメ順に紹介する

最近しばらく体調を崩してダウンしていたことがあって、主にその時期にKindleで大量に漫画を買って読んだ。
そのとき読んだものを含め、ここ数ヶ月で新規に読んだ漫画、あるいは読了した漫画をオススメ順に並べる。

特に一時期、5巻以内で完結するものや、10巻前後で完結するものを探して買い漁っていたので、そういうのが多い。

続きを読む

『NETFLIXの最強人事戦略』を読んだ

最近、掲題の本が私の周囲で流行っていたので、勤め先で技術書籍の購入を担当している人に「読みたいです!」と訴えたところ、翌々日ぐらいに入荷して、私のデスクの上に置かれていた。

…で、2週間ぐらい掛けて読んだので、感想などを書く。

そもそもNETFLIXとは?

「知ってるよ!」という声がたくさん返ってきそうだが、最近は日本でもすっかり有名になった映像ストリーミング配信の大手会社だ。
既存の映画やドラマだけでなく、オリジナル作品の配信も行っている、ということも既によく知られているだろう。

だが、元々は1997年にDVD郵送レンタル会社として始まったことを知っている人は、日本では多くないのではないだろうか。
少なくとも、私は本書を読むまで知らなかった。
その後、何度かビジネスモデルを変化させ、いわゆる「イノベーションのジレンマ*1に陥ることを上手く避けながら、今日の繁栄を築いてきた企業なのだ…というのは、本書末尾の訳者あとがきの受け売りである。

NETFLIXは、いかにして「イノベーションのジレンマ」を回避し、自らを変革させ続けることができているのか。
そのヒントになるのが、同社のカルチャーであり、本書に示される人材活用の戦略である。

本書の概要(雰囲気)

この本の著者は、NETFLIXの創業メンバーであり、2012年まで人事最高責任者として務めたパティ・マッコード氏だ。
彼女は同社の企業文化を表したCulture Deckを、創業者でありCEOのリード・ヘイスティングス氏と一緒に創り上げた人物でもある。

この本は、彼女が人事戦略を通していかにNETFLIXのカルチャーを作り上げていったか、その14年間の軌跡が綴られている。
ただし、教科書のように原理原則を先に立てて示していくような書き方ではなく、14年間でどんな困難に出遭い、どう決断してどう解決してきたかという赤裸々なストーリーがいくつも展開されている。

なので、読み物としても面白く、割とさくっと読めてしまうのではないだろうか。
その上で、内容はとても刺激的だった。
確かに、著者視点で考えてみれば「なるほど」と頷けるのだが、週明け出社して会社に「このやり方を試してみましょう」と提案するのは大変な苦労を伴いそうだ。
そのぐらい、変革に満ちた内容だと言える。

気づき

たくさんあるが、全部書くとネタバレしすぎて良くなさそうなので、いくつかにしておく。

  • 従業員に自由と責任を与える
    • 例えば、同社では有給休暇制度が廃止された。従業員は好きな時に休めるし、人事は休暇を管理しなくていい。ほとんどの従業員は適切な範囲で休みを取るという。
  • 徹底的に正直になる。経営者が率先して見本となる
  • オープンなフィードバックシステム。「ストップ、スタート、コンティニュー」……止めてほしいこと、新たに始めてほしいこと、続けてほしいことをフィードバックする。同社では後にいつでも誰にでも 記名して フィードバックを送れるようなシステムが出来たという。
  • スポーツチームの運営をしているような感じ。だからトップ選手だけを起用するし、メンバーを頻繁に入れ替える。
  • 従業員特典が素晴らしい仕事をさせるわけではない
  • 前向きな解雇はその人にとってもより良い未来を切り拓く*2
  • 人事考課制度の廃止
  • 給与制度と人事考課の分離

「人事考課制度の廃止」などと言うと、もう企業の人事担当者やマネージャーは拒絶反応を起こすのではないだろうか。
しかし、「膨大な時間とコストを掛けている」にもかかわらず、企業にとって「重要な経営指標の改善につながっている」と言えるだろうか? 本書では、「そうでないなら、段階的にでも廃止していった方がいい」と示唆している。実際に、「アクセンチュア、デロイト、GEといった名だたる優良企業が」従来の人事考課制度を廃止し、「新しいやり方を導入している」らしい。
少なくとも、やり方の見直しは考えた方がいいかもしれない、と思った。

また、給与制度を人事考課と分離する、というアイディアは、最近知ったサイボウズ社の人事・給与制度にも通じるものがあった。

給与は能力に応じて支払えば良いし、それとは別に仕事についてのフィードバックは随時行えばいい、というのはとても理に適っているように感じた。

まとめ

以上、『NETFLIXの最強人事戦略』を読んだ感想や気づきを書いた。

本書には、最近組織について考えていた課題や、ふだんのチーム運営において参考にできるヒントがたくさんあったように思う。
もう少し消化して自分なりに整理しておきたい。
特に解雇については、米国と雇用制度の違いもあるし、愚直に真似できるものではない。

ひとまず、会社の書庫から借りて読んだが、この本も自分で買うことになりそうだ。

参考

*1:イノベーションのジレンマ - Wikipedia

*2:本稿の内容からはやや脱線するが、『君たちに明日はない(新潮文庫)』という小説を思いだした。

さよなら、タイムゾーン

はじめに

2020年の東京オリンピックに向けたサマータイム導入の是非について、主にIT業界を中心に(?)世論が白熱する今日この頃。
私のタイムラインに、こんなツイートが飛び込んできた。

正直、目から鱗だった。

サマータイムを止めるかどうかの議論の前に、そもそも時差の概念をなくしてしまう。
――例えるならば、争いにどう勝つかを考えるのではなく、争いそのものをなくしてしまう。
そんな発想の転換を感じた。

直観的にこれは筋が良さそうなアイディアだと思ったのだけど、だからこそ想定され得る懸念は排除するか、議論を深めておきたい。
そんな意味合いもあってこのエントリを書いている。

そもそも、UTCとは

このブログを読む9割の人には説明不要だと思うのだけど、念のため補足しておくと、「協定世界時*1」と呼ばれる時刻系のことだ。
グリニッジ標準時GMT*2」や「世界標準時」と言った方がピンと来るという人もいるだろうか。
これらは等価な時刻系で、世界各地の標準時の基準となっている。

UTCを採用したらどうなるの?

UTCは今の日本標準時JST)に対して9時間遅れている。
ので、もし日本がUTCを標準時として採用した場合、数字の上では今より9時間早く生活する形になる。
会社員が出勤するのはAM0:00頃、ランチタイムはAM3:00、サザエさんが始まるのはAM9:30といった具合である。

この@sakaikさんは少しの間「UTCトライ」と称してUTC時間での生活を試みたようだ。

…正直、今のところ全然ピンと来ないけど、慣れたら普通になるだろう。…きっと。

予想される懸念

移行時に混乱があることは当然考えられる。
他に何があるだろうか?

パッと思いついたのは、以下のようなものだった。

これに対しては、次のようなリプライを頂いた。

確かに。

この程度なら、大した懸念ではないかな、と思った。

追記

Facebookで下のような指摘を受けた。

「今日」っていう概念が日が昇って沈むまでを前提にしてるものとか、正午≒南中を前提にしてるものの方に不整合が出てきますよねー。「今晩」が日付としては明日になる地域では時差以上の混乱かも

これも確かにありそうだけど、上の私のツイートのように現在の常識を前提にした考えとも言えそうだ。
UTC時間での生活が当たり前になれば、自然に概念が変化していくのではないだろうか。

考えられるメリット

時差に関する諸問題がなくなるというのが最大のメリットだ。

時差に関する問題は枚挙に暇がない。
いくつか例を挙げよう:

  • ニューヨークと東京にいる人同士で電話会議をする場合。「8時に」と言ってもどちらのタイムゾーンでの話か、朝か夜か誤解があるかもしれない。
  • アメリカへの出張から帰って来る場合。9/12に帰って来るつもりが、日付変更線を越えるので9/13になってしまった。(いや、普通はちゃんと計画するだろうけど、考慮が必要だということ。)
  • 時差のある国に旅行に行くと iPhone 腕時計の時刻を合わせなければならない。(iPhoneは勝手に合う。むしろ日本時間のままにしておきたい時に不便か)
  • イリノイ州からインディアナ州に車で出かけると1時間時刻が進む。
  • タイムゾーンを導入している地域から導入していない地域に移動すると時間が戻る。
  • ワールドワイドな期間限定のキャンペーンを実施するとき、ローカルタイムを考慮する必要がある。
    • もし、サマータイムも考慮すると、サマータイムの切れ目とキャンペーンの切れ目の重なりを考慮すると相当ややこしいことになる。

たぶん、私よりも時差について日常的に頭を悩ませている人はもっと色々思いつくと思う。

どちらかというと、アメリカやロシアのように1つの国の中に複数のタイムゾーンを抱えている国の方が、UTCへの統一による恩恵が大きいのではないだろうか。
本来的には、時差というのは1時間や30分の単位で区切られるものではなく、経度に沿って切れ目なく変化するものだ。
ある地点から別の地点に移動したらいきなり時刻がジャンプするより、ずっと共通のUTCを使う方が、よほどわかりやすそうだ。

また、コンピュータが時差やサマータイムを考慮しなくて良くなるというのも大きなメリットだ。
プログラマは時差を考慮する必要がなくなるので、浮いた工数を他に回すことができるようになるだろう。

まとめ

以上、自分が思いついたわけではないけど、世界からタイムゾーンを取っ払って、みんな1つの時刻系で生活するというアイディアを紹介した。

サマータイムがきっかけではあるけど、サマータイムが今後世界からなくなったとしても、更に時差をなくすことにも意味が有って、良い考えだと思う。

「いいじゃん、これ」と思った方は、時計をUTCにして、時差のない世界へ旅立ちましょう。

参考

少しだけぐぐったら次のような2011年のエントリを見つけた。

元記事は海外のものだが、同じことを考える人はいるものだ。

脚注

企業人 or Web技術者として生きる若者に薦めたい幾つかの本

はじめに

先日、勤め先の若手社員とランチに行く機会があり、「何かオススメの本はありますか?」と訊かれた。

SEが20代で身につけておきたいこと

咄嗟に出てきたのは、『SEが20代で身につけておきたいこと(技評SE選書)』という本だった。
これは私が社会人になりたての頃に読んだ本で、IT業界のベテラン数名の方が自身の経験を踏まえて、タイトルに沿った内容のことを書いた本だった。
ただ、内容については正直そこまではっきりと覚えてはいない。が、当時、将来のキャリアを考える上で参考にはなったと思う。

これまでそういう質問をされることがほとんどなかったので、その場ではそういう回答しかできなかった。
少々申し訳なく思ったので、「他に何があり得るだろうか?」と本棚と記憶を振り返りながら考えてみることにした。

もちろん、その人にどういう能力や適性があって、どういうキャリアを描いているのかによっても変わってくると思うのだけど、若者の未来というのは概して定まっていないものだ。
一般的に通用しそうなものや、自分の興味を惹き付けてきたジャンルについて、心の中にオススメ本を用意しておいても良いだろう。

というわけで、以下では私がこれまで読んできた本の中からいくつか紹介する。

想定読者

会社勤めをしている人、ビジネスに関わる人。
あるいはWeb系のエンジニア職をしている人。
または、これらのどれかになろうとしている人。

(タイトルを「会社員」としてないのは、色んな働き方を考慮してのもの)

どんな職種でも役立ちそうな本

戦略フレームワークの思考法

初めに、ロジカルシンキングについて。
ロジカルシンキングは思考のツールとして役に立つことがあるし、他者を説得するときや、会議を首尾よく進めるときなどビジネスにおいて有用なシーンが多い(と思う)。
よく使う思考のパターンやフレームワークと、その使い方を解説している本を1冊ほど読んでおくといいのではないだろうか。

私は社会人1〜2年目ぐらいの時に『戦略フレームワークの思考法』という本を買って、一通り読んだ。
ほとんど読み返すことはないが、今でも手元に持っている。

次に役立ちそうなジャンルとしては、プロジェクトマネジメント系の本が考えられる。
社会人であるあなたはきっと、なんらかのプロジェクトの一員として働く機会が多いはず。
プロジェクトを炎上させず、いい感じに進めるために、先人の知恵を学んでおくことは、プロジェクトでどんな役割を果たすとしても役に立つと思う。
…のだけど、残念ながら私はこの分野の本を読んだことはないので、ここでオススメ本を挙げることはできない。
誰か良い本を知っている方は教えてください。

伝え方が9割

もし、あなたがコミュニケーションに課題を感じているのだとしたら、コミュニケーションに関する本を読むのも良いと思う。
コミュニケーションは多分に気質や性格に影響を受けると思うのだけど、後天的に「技術」を身に着けることも可能だと、個人的に考えている。
この分野で有名、かつ、オススメの本は、『伝え方が9割』だ。

5年ほど前に出版された本だが、手元にあったのは初版第二刷(2013/3/13発行)のものだった。
この本の主張はタイトルに尽くされているようとも取れるが、「じゃあ、どう伝えればいいの?」という方にとっては一読以上の価値はあるだろう。

他にも、ヒューリスティック or 心理学的な観点でコミュニケーションのテクニックを記している本は多数あるように思う。

ソフトウェアエンジニア向け

メジャーな本にそれほど目を通しているわけではないけど、自分がこれまで読んだ本の中からいくつか紹介しておく。

リーダブルコード

プログラムを書く全てのエンジニアにオススメなのは『リーダブルコード』だ。
あなたの書くコードは、(多くの場合においては)あなたが書く時間よりも、あなたも含めてレビュワーやメンテナといった関係者一同が読む時間の方が長いはずである。

また、プログラマーであれば、オブジェクト指向プログラミングは身に着けておくべきと思う。
これについては、特定の本を読むというより、JavaRubyなどオブジェクト指向プログラミングに向いた言語の入門書などを通して身に着けるのが良いのではないか。(…というと、言語差別的になるだろうか?)

SQLアンチパターン

RDBMSを扱う初心者ではないエンジニア、中でも特にアプリケーションエンジニアにオススメなのは『SQLアンチパターン』だ。
この本については、遅まきながら最近読了したので、書評エントリ(?)を書いた。

SRE サイトリライアビリティエンジニアリング

サーバーサイドのシステム全般に興味がある人(or インフラ寄りの人)なら、『SRE サイトリライアビリティエンジニアリング』はオススメ。
ただ、初心者が最初に手に取るべき本ではないかもしれない。
また、とても長いのでまずは1〜5章ぐらいまでを読んで、各論は後回しにして汎用的なチーム運営やワークフローに関する章を先に読むのが良いのではないか。

[24時間365日] サーバ/インフラを支える技術

初心者がイチからWeb技術を学ぶという文脈では、『[24時間365日] サーバ/インフラを支える技術 』という良書がある。…が、なんともう初版から10年も経ったので、やや内容が陳腐化してしまったかもしれない。
2018年のオススメ本がある人は教えてください。

インフラ/ネットワークエンジニアのためのネットワーク技術&設計入門

サーバ・インフラを志す人は、まずインターネットの仕組みや全体像をざっくり理解するのが良いのではないだろうか。
その点では、最近読んだ『インフラ/ネットワークエンジニアのためのネットワーク技術&設計入門』はオススメといって良さそうだ。
これについても読後に感想記事を書いた。

この本は取り扱っている技術要素の幅が広く、若干out-of-dateな内容も入っていると思うが、L1〜L7までざっくり見渡せるし、1つ1つの話題をそんなに深く掘り下げないので、全体観を掴む上で役立つと言えそうだ。

その他にも、コンピュータ・サイエンスの本やLinuxカーネルに関する本など、挙げようと思えばまだまだ出てくるが、段々ニッチになっていくのと、キリがなくなりそうなので、今回はこのぐらいにしておく。
あるいは、もっと賞味期限の長い、理論や低レイヤ寄りの本の方が良いんじゃないの? という気もするのだけど、そちらに寄れば寄るほど、多くの人にとって確実に役立つかわからないのが難しいところ(と感じたので割愛)。

マネージャー or ハブ的立場の人向け

HIGH OUTPUT MANAGEMENT

HIGH OUTPUT MANAGEMENT』を4月に読んで、感想記事を書いた。

…というか、その手の本ではこれぐらいしか読んでない。
が、間違いなく良書だと思う。

感想記事にも書いたけど、チームリーダー以上の中間管理職のみならず、「ノウハウ・マネジャー」――いわば「生き字引き」的な人も対象とした本だ。
組織のナレッジ管理や、共通機能の抽出・集約といったことに興味がある人にとっても有用だと思う。
また、最近流行りの1 on 1ミーティングをどう組織に取り入れ、実践していくかを考える上でも役立つだろう。

他には、コーチングに関する本とか、マーケティングや経営に関する本とか、データ分析、あるいは研究開発をする人向けの本とかあるかもしれないが、あまり読んでないし思いつかないので踏み込まないことにする。

まとめ

以上、9冊ほど挙げた。
ややWeb技術のそれもサーバサイドに寄っているのは、私のキャリア・経験上仕方のないことだ。

文中に述べたように全てがオススメというわけではないし、自分に向いていると思う本をチェックしてもらえればと思う。

ご参考まで。

最近買ったフィットネス関連用品

平成最後の夏も終わろうとしている今日この頃、みなさまはいかがお過ごしでしょうか。

私は今年の1月末ごろに体調を崩し、それまで週1ペースでコンスタントに行っていたジム活動を休止していました。
その時はただの風邪だったので、体調はすぐに回復したのですが、その後ゲーム沼にハマったり、ラノベにハマったりしている内に、およそ半年ほど英気を養う形になってしまいました。

そんなわけで、ジムワークを再開したのはつい最近のことです。
この半年間でお腹に溜めてしまった備蓄を、燃焼させなければなりません。

さて、そんな私が昨年末〜最近の間に買ったフィットネス関連用品をつらつらと紹介します。
特に結論はありませんので悪しからず。

  • トレーニングシューズ
  • シューズ袋
  • Bluetoothイヤフォン
  • デジタルウォッチ
  • ウェストポーチ
  • まとめ

トレーニングシューズ

実は、それまで学生時代に買った卓球シューズを15年ぐらいジムで流用して、トレッドミルで走ったりしてたのですが、さすがにそれなりに傷んできたし、そもそもランニングに向いてないので、もう少しマシな靴を買う決心をしました。

続きを読む

(メモ)著作物を翻訳し公開することは違法になり得るということ

はじめに

※まだ法令原文には当たってないので、この記事は3次情報です。もし誤りなどあればお知らせ頂けると幸いです。

私は日本で働くソフトウェアエンジニアなので、技術文書の邦訳記事を参照することはよくあります。
また、私自身もまだ翻訳されてないものについては翻訳してみたくなることがあることがときどきありますが、どこまでが法律で許可されてるんだっけ? というのがふと気になったので調べてみました。

翻訳を公開したら違法になり得る

著作権は原著者にあるので、勝手に翻訳して公開すると基本的には違法になると思って良さそうです。
特に、翻訳権というものがあるようですね。

違法になるケースは全文訳に限らず、要約であってもNGのようです。

違法にならないケース

けっこう色々あります。

  • 私的利用に留まる場合
  • 正当な引用の範囲に留まる場合
  • 著作者の許諾を得た場合
    • CCライセンスなどで改変を許可している場合
      • ※CCライセンスでも改変が許可されてないとNG
      • ※CCライセンスで非営利利用に限定している場合、営利利用はNG
    • Webサイトなどで、翻訳を許可する記述がある場合
    • 著作者に尋ねて許諾を得た場合

他に、教科書や試験の問題文といった特殊ケースもあるようです。

どうするか

翻訳して公開したいものがある場合、

  1. 翻訳が許可されているか確認する
  2. 許可されていなければ、許可を得る
  3. 許可が得られなければ諦める

とすべきのようです。

参考

『HIGH OUTPUT MANAGEMENT』を読んだ

会社の先輩に薦められたのがきっかけで、この1〜2週間ほどで読了した。

結論から言うと、とても良かった。

元々この手のビジネス書やマネジメントを題材にした本は敬遠していたのだけど(後述)、4月から会社でチームリーダーをやることになって、チームの運営をどうしようかと考えていたので、丁度よかった。

内容紹介

この本は1984年に発行された『ハイ・アウトプット・マネジメント』に加筆・修正して、1996年に発行された『インテル経営の秘密』の復刻版らしい。
その題に違わず、著者であるアンディがCEOとしてどのようにインテル社を経営してきたかの、根底にある考え方が事例とともに描かれていると言えよう。

理系出身の著者らしく論理的な文章で、抽象化が上手く、事例が的確で、陳腐な(自明な)内容は少ないと感じた。

想定読者層

この本が読者層として強く想定しているのは「ミドル・マネジャー」と呼ばれる人たちである。
日本語にすると、「中間管理職」となるだろうが、それだけでなく、組織の中で知識や技能に秀でた「ノウハウ・マネジャー」という人たちも加えたいとしている。
その人たちも組織の複数の人々に影響を与え得るからである。

本書の一部では人事考課など本当の管理職しか実施しないであろう仕事について取り扱っているが、その他の7〜8割の内容は、これらの「ノウハウ・マネジャー」の人たちにとっても参考になるだろうと思った。*1

そういう意味で、ターゲットの裾野がとても広い本である。

章立て

第1部では、単純なモデルケースとして「朝食工場」なる工業会社を考案し、生産管理に関する考え方を述べている。

第2部では、「マネジャーのアウトプット = 自分の組織のアウトプット + 自分の影響力が及ぶ隣接諸組織のアウトプット」という等式が出てくる。
マネジャーは自分の組織の中の「小CEO」として、テコ作用(=レバレッジ)を最大化するように行動すべし、と述べられている。

第3部では、組織が数十名以上の規模に肥大化した状況を考え、組織構造や人をどのように所属させるか、といった話が述べられている。

第4部では、動機付けや人事考課、採用、研修といった話題が出てくる。

1 on 1の実施方法

インテル社ではマネージャーと部下の間の1 on 1ミーティングを実施している。
これの意義や効果的な実施方法については、主に第2部 第4章「ミーティング」で述べられている。

この本を読む何ヶ月か前に下の記事を読んだことを覚えていたが、この記事の元ネタが『HIGH OUTPUT MANAGEMENT』だったことに、読み返してみて気づいた。

1 on 1ミーティングの意味は色々あると思うけど、新米のチームリーダーとしては、メンバーからチームの課題など情報収集できる貴重な機会だと思っている。

経営の問題とは関係ないけれど、本の中で「ワン・オン・ワン・ミーティングは家庭生活においても役に立つ」と述べられていたのは面白かった。

感想

チームの大小を問わない「マネジメント」に関する多くの仕事について概観した本であり、ロジカルでわかりやすく実践的なので、色んな場面で参考書的に使えるのではないかな、と思った。

また、「ノウハウ・マネジャー」的な人はたぶんどこの組織にもいるが、その価値を適切に評価することは難しそうである。
だが、その人たちが組織のアウトプットに寄与しているケースは多いだろうから、ちゃんと計測して評価に反映できると良いなぁと思った。

終わりに

自分やチームのテコ作用を最大化させられるように行動したいものである。

次に読むマネジメント関係の本の候補としては、『エンジニアリング組織論への招待』が気になっている。

余談:マネジメント系の本を敬遠していたこと

これの主な理由として、第一には、職種がソフトウェアエンジニアで、これまで管理職に就いた経験がない、というのもある。
他方、マネジメント系の本については、なんとなく、経験則に基づいた話が多かったり、考えればわかるような自明のことをわざわざ書いているような印象を持っている、というのも理由に含まれる。

でも、『HIGH OUTPUT MANAGEMENT』は良かったので、きっと良い本は良いのだろう。

先日、下のようにつぶやいたが、過去からもっと学んでベストプラクティスを実践したいものだ。


*1:日本のIT業界では「〜に詳しい男性」という意味でよく「〜おじさん」と称される。